歯周病と顕微鏡

衛生検査技師 伊藤の顕微鏡。そして治療法選択への提案

顕微鏡で歯の根の細胞をみるとこのようになっています。歯は生きています。たとえ神経を抜いた歯でも歯の根の細胞は生きています。歯は再生します。抜歯をしないということは、一度抜いた歯を元に戻すということも含みます。歯を抜いてインプラントのような外来物を入れるのではなく、自分の歯を元に戻して入れることにより、歯を再生させるのです。

これは歯が2つに割れてしまい、他の歯科で抜歯してインプラントにすると言われて、当院にいらした方の歯再生治療例です。一度抜歯をしてくっつけて元に戻し、4ヶ月すると立派に骨もできました。小さい口腔外科手術ですが、15分もかかりません。なぜなら歯の根の細胞は抜歯してから15分以内に元に戻さないと死んでしまうからです。ですから15分で必ず終わります。

1.バージャー病と歯周病

歯周病の重い症状を引き起こす様々な細菌の種類とその動きを動画で紹介します。この症例は右側にある大きい枠のようなのが正常な歯肉の細胞です。洪水のような菌の流れが左側にあり、その中から取りついた棹菌が血吸ヒルのように歯肉細胞を攻撃しています。この菌はToreponema dentiolaと呼ばれる螺旋菌の一種で口腔内に常時存在しているのですが、あるものがあると性格が変わり獰猛になります。それはタバコの煙です。血管の中に入り込んで遠くへ行き、末梢の血管を攻撃するようになり、あのエノケンさんが片足を失ったのもこれが原因でした。バージャー病です。発症する9割が男性。残りの1割も含めてすべて喫煙(含む受動喫煙)がからんでいます。(※1)

対策:まず必ず禁煙しましょう。喫煙を維持したまま妙な殺菌剤を口腔内で作用させると血管の中に追い出しかけてるようなもんです。また、咬合性外傷があると歯周病は非常に予後が悪くなります。うがい薬としては濃度を低くした塩化ベンザルコニウム系(ネオステリングリーン)のようなマイルドでスペクトルの広いものがよく、善玉乳酸菌(ロイテリ菌など)を積極的に摂取して善玉菌優勢の口腔内に造りあげていきましょう。

 

 

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上の画像をクリックすると動画が再生されます。

(※1)東京医科歯科大学プレスリリース研究成果「バージャー病と歯周病の関連が明らかにされる」2005年6月27日東京医科歯科大学

2.トリクロサンとダイオキシン

トリクロサンは殺菌の目的で一部のうがい薬、洗口液に使われています。下左がトリクロサン、下右がダイオキシン(ポリ塩化ジベゾフランの方)の化学式です。トリクロサンに赤線1つ足したらダイオキシンです。こんなに類似した分質なのです。トリクロサンに塩素の存在化で強く紫外線を作用させるとダイオキシンになることは実証されています。(※1)(※2)トリクロサンは太陽光にあたっただけで、毒性の弱いダイオキシンに自然に変化することが近年米国ミネソタ大学で報告されました。(※3)ミネソタ州では州法で、トリクロサンは一切使用禁止です。このような危険なものを殺菌などという目的でなぜ口の中に入れる必要があるのでしょうか。現在トリクロサンを含んでいる洗口剤、ピユーオーラ(花王)、デイープクリーン(花王)、デントヘルス(大正製薬)、GUMデンタルリンス液体歯磨き緑ラベル(サンスター)

*1)トリクロサン及びその塩素化誘導体の13種類の核内受容体への作用。武内伸治ほか、日本薬学会第131年回総会、2011年3月、静岡

*2)平成14年から平成22年度における「ダイオキシン類をはじめとする科学部質の人への蓄積量調査」環境省環境保健部環境安全課環境リスク評価室、平成25年9月

*3)http://www.asyura.com/0304/health4/msg/520.html

*4)http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/triclosan-68d0.html

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